アニメな世界事情
イタリア

イタリアはヨーロッパの中ではドイツやベルギーと並んで日本のアニメを数多く輸入している国である。
そもそもは1980年代初頭に「ダンガードA」が放映されるや大ブームを巻き起こし、テレビにロボットアニメがあふれた。しかし「暴力的だ」という大人の猛反発に会 い、ブームもやがて去っていった。1990年代に入ると、大人になった「ダンガードA」世代が会社を作り、自分たちで日本のアニメを輸入するようになり、次 第に日本のアニメブームが復活して行く。今回は少女向けやスポーツものなど、さまざまなジャンルが放映され、広がりを見せた。しかしブームが高まるにつ れて競争がはげしくなってゆき、作品も過激さを増していった。

そしてまた叩かれてブームが終焉、といったパターンを繰り返し、近年までほとんどローカル局でしか放送されなくなっていた。そこに彗星のごとく現れたのが「天空のエスカフロー ネ」(右写真)だった。子供ばかりか今までアニメを目の仇にしていた大人にまで受け入れられ、これをきっかけに日本アニメブームが復活したのである。同時に世界的な ポケモンブームも追い風になり、今度こそ日本のアニメはブームを通り越し、イタリアの文化に定着しようとしているのだ。

イタリアではアニメを新旧いっしょくたに取り混ぜて、週一回ではなく連日放映するというスタイルである。『ドラゴンボール』や『ルパン三世』、『キャンディキャンディ』や『ドラえもん』はイタリア国民であれば誰でも知っている。『エヴァンゲリオン』の人気も尋常ではない。六〇年代以降に生まれたイタリア人はすべて、日本のアニメを見て育ったと言っても過言ではないのだ。アニメ人気と連動してコミックの売り上げも日本のものがトップで、次にアメリカ、その次が本国イタリアとなっており、次にフランスが続いている。

イタリア製の劇場アニメと言えば、ブルーノ・ボゼット監督による『ネオファンタジア』(左写真)が真っ先に頭に浮かぶ。日本では一九八〇年に初公開された、シンフォニック・アニメーションである。アメリカのディズニー作品『ファンタジア』と同じように、クラシックの名曲にのってイマジネーション豊かなアニメーションが展開する。私自身、日本での公開時、友人達と観にいって「なんじゃこりゃあ!」とぶっ飛んだ記憶があって懐かしい。

イタリアのアニメは豊かな文化を背景に、音楽、アート、風刺、ギャグ、 そしてエロティシズムまで芸術に変えてしまう傑作が沢山作られている。子供たちが日常的に楽しむアニメは日本製に任せ、自分達は自分達のアニメを楽しんで作っているかのように感じる。

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