カナダは、知る人ぞ知るアニメ大国である。カナダには、『線と色の即興詩』や『隣人』など実験的な作品で知られるアニメ作家、ノーマン・マクラレンが一九四一年に設立したNFB(カナダ国立映画制作庁)がある。

NFBは、カナダに関連する映画および視聴覚作品を制作し、カナダ国民に、そして全世界に向けて配給する公共機関NFBはドキュメンタリー制作およびアニメーション制作の中心的存在であると同時に、カナダの重要な視聴覚文化遺産の宝庫でもある。主要な映画フェスティバルでこれまでに三千回以上も評価を受ける機会を持ったNFBは、その作品でこれまで六十五回のオスカーノミネートのうち回オスカー像を獲得している。また「芸術的、創造的、技術的活動に力を注ぎ、映画制作のあらゆる面で卓越している」ことに対するオスカー名誉賞を受賞している。

最近のNFB作品にはドキュメンタリー、短編ショートアニメーション、DVD、インタラクティブ・ビデオなどがある。

他国の作家にも門戸を開き、創作活動を支援してきたことは有名だ。NFBの発案により作られたCJax - 日加ショートアニメーション・エクスチェンジという組織がある。日本のアート系、独立系アニメーション作家の国際デビューを支援する企画を推進するとともに、作家の国際デビューを支援してくれるスポンサーを募集している。力はあるがお金のない作家に対し、国をあげて支援するカナダという国は、その国土に負けないくらい懐の広い国であり、日本やアメリカとは一線を画したアニメ大国なのである。

NFBの支援で生まれた傑作はたくさんあるが、その中でも私は、画家、自然保護活動家としても活躍するアニメ作家フレデリック・バック監督のアカデミー賞最優秀短編アニメーション賞受賞作「クラック!」(八二年)、「木を植えた男」(八八年)と、世界最大のアニメ映画祭「仏アヌシー映画祭」のグランプリ作品「大いなる河の流れ」(九三年)などを絶賛したい。いずれも自然保護をテーマに一本の制作に何年もかけて作られた作品だが、個人だけの力では到底成し遂げることはできなかった偉業である。

商業アニメの分野では、ほぼアメリカと一体であり、ポケモン』『遊戯王』『ドラゴンボールなど、日本のテレビアニメがたくさん放送されている。自国産のアニメも結構作られており、かわいい小ザルを主人公にした『やんちゃなブルーノ』は世界七十カ国で放送されていて好評だ。韓国やフランスとの合作にも意欲的である。

日本のアニメを主体にしたイベントではエドモンドにおいて数千人規模の「アニメテオン」が開催され、トロントでは一万人規模の「アニメノース」が開催されて、北米のオタク高校生を糾合している。イベント会場ではコスプレも盛んであり、トロントにはメイドカフェもある。

毎年開催されている「カナダファンタジア映画祭」では二〇〇五年に日本の『マインドゲーム』がベストアニメーション賞など六部門を総なめにし、二〇〇七年には日本の『鉄コン筋クリート』がゴールデンプライズ賞を受賞している。斬新かつアート的な作品に対する評価が高いようだ。東西のアートが出会う国、それがカナダである。

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