アニメな世界事情
韓国

韓国では一九六五年の国交回復以来長年に渡ってアニメを初めとする日本の大衆文化を公に放映したりすることが禁じられてきた。しかし一九九八金大中大統領(当時)が日本文化開放政策を打ち出したことにより韓国国内でアニメを初めとする日本文化が幅広く紹介されることになった。この政策は韓国国内でも支持され、その後現在に至るまでアニメを初めとする日本の大衆文化が韓国国内で広く受け入れられるようになった。更に二〇〇一月には日本アニメ専門チャンネル「AniOneTV」が開局した。

もっとも韓国は中国と並び海賊版天国であり、規制が強かった頃でも人気作品は良く知られていた。技術的には長年、日本やアメリカの下請け国としてアニメのノウハウを身に付けてきた国である。特に近年の日本製アニメのエンディングテロップには韓国人スタッフの名前が頻繁に見受けられる。どんな大量の動画作業でも韓国に送れば、クオリティーはともかく、あっと言う間にあがってくることは脅威である。

その下請けで得た技術で長年、『ロボット・テコンV』(右写真)『ロボット王ソンシャク』などロボットアニメを中心に自国製のアニメも作ってきた。しかし内容的には多くが日本製アニメの亜流であり、中には『走れ!マジンガーX』など、ネーミングからデザイン、設定までほとんどパクリとしか思えないものもあった。

しかし、今世紀に入ってからは大統領の肝いりで教育機関も含めて計画的にアニメ産業を育てようとしているのだ。そうした国策のもと、国営のアニメ大学の創立をはじめ、数多く大学にアニメーション科が設置され、各セクションの人材育成が行われている。韓国のテレビドラマが日本でブームになり、実写映画がその質の高さで話題を呼ぶ昨今、アニメ制作においても韓国では著しい進歩が目に見えており、日本も油断してはいられなくなってきている。

企画から七年の歳月を経て、二〇〇三年に公開された『ワンダフルデイズ』(左写真)韓国アニメーションの未来を開いてくれる「夢のプロジェクト」として話題を集めた作品だ。結果、世界規模で高い評価を得た。技術的にはすでに日本と互角の立場に立つ所まで来ているのだ。

ただし、韓国は人口五千万人弱の国なのでアニメを作っても、その収益を回収するのに十分な国内市場を持たないという問題点を抱えている。韓国ではアニメを初めとするコンテンツはネットにおいて無料で見るという文化が少なからず広まっているため対価を払ってコンテンツを見るという環境が十分育っていないのである。

このため、日本では一般的になっているDVD販売などのビジネスモデルが成立しない。この結果、アニメ制作の収益面で政府に依存しなければならないという問題を抱えている。このため現状では、国内市場で自国アニメが大ヒットするという実績を築き難い状態にあるのだ。

韓国で人気のアニメはほとんどが日本製であり、若者達にも日本への憧れ感が強くある。韓国にもアニメの教育機関はあるのだが、日本の専門学校への留学生が後を絶たない。韓国のアニメフェスティバル(右写真)もほとんど日本アニメ一色である。

しかし、韓国の文化観光部は、二〇〇六年月に韓国政府が脱下請けを目指して、二〇〇六年から二〇一〇年までの間にアニメーション産業の育成に七百六十四億ウォン(約九十二億円)を投資することなどを含む「アニメーション産業中期成長戦略」を発表している。これには明確なビジョンと強い意思が感じられ、今後の韓国アニメ業界の動向からは目が離せない。

韓国は日本が今、もっとも脅威とする国であることは間違いないだろうが、私は大きな心配はしていない。我々は我々にしか作れないアニメを作っていけばいいのだ。さらに将来的にはアジアの先進国同士、よきパートナーとして共同制作もどんどん推し進めていけばいいのである。

韓国の年配者は、半世紀以上前の日韓併合時代の怨念を忘れてはいない。そして今の若者達に対しても「日本人は残虐な民族だ」との偏向教育がなされてきている。アニメが日韓の架け橋となって両国民が心から理解しあえる日が来ることをただただ願うものである。

目次     次へ中国