アニメなQ&A
クリンナップに時間がかかってしまいます。かと言ってきれいにも描けません。どうしたらよいでしょうか?(アニメ専門学校生)
Q
A

動画マンが、原画もしくは中割りした動画の下描きの清書をすることをアニメ業界では一般的に「クリンナップ」といいます。

「クリーンナップ」でも「クリンアップ」でもいいのですが個人的には「クリンナップ」が一番しっくりきます。

「たかがクリンナップ。されどクリンナップ」と言うように(誰が?)クリンナップは一見ただのトレスでありながら、アニメーターにとっては最終的な仕上げ作業なので、現場ではかなり重要視されます。

原トレ、つまり原画トレスでは、多くの場合、原画マンの描いた原画と作画監督がそれにのせた修整を混合しながらトレスしなければなりません。

トレスと言っても、そのまま写し取るのではなく、余分な線を省いたり、時には不備な部分を補ったりしながら、くっきり滑らかに仕上げていく作業がクリンナップであり、スピードも求められるのです。

スピードが求められるのには、3つの理由があります。

一つ目の理由としては、まず制作サイドの事情があります。

アニメ制作は常に厳しいスケジュールに追われているので制作サイドとしては少しでも早く、一枚でも多くの上がり動画がほしいのです。

スタッフの一員である動画マンが「納得のいく動画が描けるまで出せません」などと言っていたら、多くの人たちに多大な迷惑がかかるのです。

二つ目の理由はズバリ、アニメーター本人の現実的な事情にあります。

ほとんどのアニメーターは出来高制なので早く、たくさんの動画を描くことがダイレクトに収入につながるのです。

そして三つ目の理由はなんと、動画の質的な事情にあるのです。

スピーディーに描くことで生き生きとした線になるので、スピードが必要なのです。

早いということはいい事づくめですね。

おっと、前置きが長くなってしまいました。そろそろ早く描くコツについて秘技を伝授したいと思います。

ズバリ! 練習あるのみ!! 以上!

と、言ってしまっては身もふたもありませんが、これ以上でも以下でもないのも事実。

しかし、なんとか具体論を導き出してみたいと思います。

まず、気持ちの問題として「早く描こう!」という意識を常に持ってほしいのです。

ぶっちゃけ「クリンナップごときは、とっとと済ましちゃおう」と思ってください。

技術的には

@     できるだけ長い線が引けるように。

A     正確に且つ、つなぎ目が目立たないように。

B     一本の線を引くのに2秒かかっていたら1秒で引けるように。

以上の3点が大事ですので、それぞれの解説をしましょう。

@     長い線が引ければ、線をつなぐことにともなう時間が省けます。つなぎ箇所は少ないに越したことはありません。

A     引いた線が不正確だったり、つなぎ目が目立ってしまったら、消しゴムで消して引き直すことになります。これは時間の無駄の最たるものです。

つなぎ目を目立たなくするにはコツがあります。

一旦、線をとぎらせる時は飛行機が離陸するように鉛筆をすーっと上げて先細りのする線にします。

そしてつなげるための線は、前の線の先細りし始めたあたりに、今度は飛行機が着陸するような感じで芯の先を降ろしてつなげて行くのです。

B     鉛筆を滑らすスピードを倍にすれば当然、仕上げの時間は半減します。

原画を前にしてぼーっと考える時間があってはいけません。

考えなければならないことがあったとしてもクリンナップしながら考えればいいのです。

クリンナップは手を止めることなく、リズミカルに行いましょう。

タップが上にある必要はありません。

線を引きやすい方向に紙の方を合わせて、くるくる回転させながら行いましょう。

芯の先端が丸まってきてもすぐに鉛筆削りで削ってはいけません。

まずは鉛筆を少し回転させてみると細く引けるところがあるものです。

それが限界に達しても鉛筆削りはまだまだ使いません。

メモ用紙サイズの紙に芯を回転させながらこすり付けて研ぐのです。

これで再び細い線が引けるようになります。

それが限界に達したら初めて鉛筆削り解禁となるのです。

これによる時間の短縮がどれほどのものかは分かりませんが、少なくとも鉛筆の減りはかなりゆっくりになります。

筆圧の強い人は腱鞘炎になってしまう可能性があるので、野球のピッチャーやゴルファーがフォームの改造をするように、今のうちからお絵かきフォームの改造をして、無駄な力が指に負担をかけないようにしていきましょう。

 

なんだかんだと言っても、クリンナップはかなりメンタルな作業です。

緊張していれば線が固くなったり震えたりしますので、気持ちをリラックスさせて取り組むことが極めて肝要なのです。

人間、一時が万事。線にすらその人の心の状態、ひいては人生までもが出てしまうのです。